|
評価:
ジャクリーン ウッドソン
光村教育図書
¥ 1,575
(2010-12)
|
|
評価:
ジャクリーン ウッドソン
光村教育図書
¥ 1,470
(2009-12)
|
あの子と わたしを へだてるもの ふたりの少女のあいだには、高い柵があった。でも、ふたりは やがて…… そのなつ、 さくの むこうがわに あるものは なにもかもが とおく みえた。「どうしてかな」と ママに きくと、「いつだって ずっと そうだったのよ」とママは いった。
その夏、町をしきる柵がいつもより大きく見えた。柵の向こう側にあるものは何もかもが遠く見えた。ふたりの少女をへだてる高い柵。少女たちの友情は、やがて、その柵をこえ……。人種をこえた少女たちの交流を詩情豊かに描く。
ジャクリーン・ウッドソン
1963年、アメリカ、オハイオ州に生まれる。児童文学作家。2001年、『ミラクルズボーイズ』(理論社)で、コレッタ・スコット・キング賞を受賞。現在、ブルックリン在住。
E.B. ルイス
1956年、アメリカ、ペンシルヴァニア州に生まれる。幼少期に、芸術家である二人のおじから影響を受け、画家を志す。深みと美しさを兼ねそなえた写実的な画風で、数々の賞を受賞しており、これまでに手がけた児童書は30を超える。現在、ニュージャージー州在住。
『むこうがわのあのこ』
★黒人の少女クローバーと白人の少女アニー。二人の少女を隔てている長い柵。「むこうがわのあのこ」はアニー。クローバーは長い柵(というのも人種が違うことゆえ)のむこうの少女を寂しそうに見つめている。クローバーはアニーに歩み寄ると、アニーはその柵の上に上り、二人は会話を始める。柵のむこうはだめでも上なら問題ないでしょっと考えるアニーが好き。二人はどちらも少女。同じ人間。肌の色の違いだけで一緒に遊べないなんて!でも、大国アメリカの歴史の中でこの人種問題はとても大きく重要なこと。現在もどの州でも平等ということでもない。
『かあさんをまつふゆ』
★ジャクリーン・ウッドソンは『かあさんをまつふゆ』で2005年度コールデコット賞オナー賞を受賞されている。このお話にも黒人であるがゆえに悲しい思いをしている少女が居ます。エイダ・ルースという少女。第二次世界大戦時の設定であろうと想像できます。一切男性は居ない。戦地へお父さんは出征しているのでしょう。当時のアメリカ人でありながらも黒人である(がゆえの)人々は、お仕事も白人よりも苛酷な条件が当然のように黙して耐え働いていた。この少女エイダ・ルースのお母さんも生活のためにシカゴに出稼ぎにゆく。暫くお家に帰れないのです。その母親の帰りを待つ少女の姿と寂しい心の描写がE.B. ルイスの絵と共に、静かに痛切に響きます。少女エイダ・ルースには祖母が居て二人で留守を守っている。お母さんは忙しくなかなか娘に手紙も出せない毎日。帰りを待つ少女はいつも窓の外を眺めている。ようやく、お母さんからの便りが届き、その手紙を何度も何度も読む少女の姿、心に感動するのでした。素晴らしい作品です。